2023年ワールドシリーズ 大谷翔平vsアーロン・ジャッジ

2023年11月2日 ワールドシリーズ第7戦 ヤンキースvsロッキーズ

この年、ア・リーグではヤンキースが強さを見せ順当にリーグ優勝しワールドシリーズに駒を進めた。

一方、ナ・リーグは下馬評を覆しロッキーズが躍進。
FA権を取得する大谷翔平をトレード期限ギリギリにロサンゼルス・エンゼルスから獲得し16年ぶりにワールドシリーズに進出した。

ヤンキースの楽勝が予想されたシリーズは大谷の奮闘もあって第7戦までもつれる。
大谷は本拠地で行われた第2戦に先発し勝利。
さらにヤンキースタジアムの3,4,5戦はDHで出場し本塁打も放った。

第7戦、先発大谷が好投。
2-0とロッキーズリードで迎えた6回表2アウトランナーなし。
打順は4番ジャッジ。

1球目 4シーム 165km/h ストライク
2球目 スライダー 147km/h ファール
3球目 4シーム 164km/h ボール
4球目 スプリット 152km/h ボール
5球目 4シーム 170km/h

ジャッジが感覚を研ぎ澄ませ速球を振り抜く。
打球はコロラドの空に弧を描きどこまでも飛んでいく。

テレビ中継の画面にはStatcastで計測した数字が即座に出される。

EXIT VELOSITY 125.0MPH
LAUNCH ANGLE 35.0deg
DISTANCE 656FT

つまり、

打球初速度 201km/h
発射角 35°
飛距離 200m

打たれて小さく苦笑いをする大谷。
しかし後続は無難に抑え、事なきを得る。

7回からはリリーフ陣がしのぎ、ロッキーズは球団創設以来初のワールドチャンピオンに輝いた。

ホームランの限界飛距離は228m

上記の妄想は、『世界記録はどこまで伸びるのか』という本を参考にしている。

 

この本はスポーツの世界記録について、人間が到達可能な限界点“パーフェクション・ポイント”を追求した一冊だ。

第8章ではホームランの飛距離を扱っている。

計算の出発点は90年代にメジャーリーグでプレーしたデレク・ベル。
身長188cm、体重97キロ。
スイングスピードは153km/h。

これをもとに、理想的な身体の選手が理想的なスイングをするとどうなるか。

まず、身長203センチの選手がバットを振ると、腕が長いぶんベルよりもスイングが速くなる。
その速度175km/h。

続いて、身体が大きい選手はストライドも大きく、身体が前に進む速度が大きくなるのでスイングも速くなる。
ただし、身体は大きすぎてはいけない。
腕が長すぎるとバットの描く弧が大きくなりすぎて速球に振り遅れてしまう。
最適の身長は、偶然にも203cm。
バットの速度は11km/h増して186km/hになる。

さらに、下半身の体型が理想的なら4%アップで194km/h。

最後に、手首のスナップがベルより強く5%増し。

以上により、本書で求めるスイングスピードの最速は204km/hとなっている。

では、飛距離はいくらか?

パーフェクトホームランの舞台はコロラド・ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドだ。
標高約1600メートルに建てられ、空気が薄く乾燥していて、ボールがよく飛ぶことで知られている。

相手投手が投げる球種は速球。
速い球を弾き返したほうが勢い良く飛ぶからだ。
人間がケガせず投げられる最速は178km/hらしい。

上記の条件が整い、風がなく、発射角35°で打ち上がった打球の飛距離はなんと228mになるそうだ。

以上がこの本に書いてあることだ。

 

これを読んだとき、ジャッジと大谷ならホームランのパーフェクション・ポイントを実現できるのでは、と思った。

ジャッジは身長201cm。
理想のスラッガーより2cm低いだけだ。

2017年シーズン、ジャッジのexit velocityの最速は121.1MPH*1 
つまり195kkm/hで、スイングスピードは定かではないがパーフェクトスイングまであとわずかなのは間違いない。

一方、大谷の4シームは最速165km/h。
パーフェクション・ポイントからは13km/hも遅い。
ただ、メジャー移籍でさらにパワーをつけたとして170km/hまでは夢想してもバチは当たるまい。

となれば、228mとはいかずとも200mはいけるかもしれない。

この妄想のハードルはもはや投手と打者の能力ではない。
いちばん高いハードルは、大谷かジャッジのどちらかがロッキーズに移籍して対戦が実現することだろう。

 

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