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2018年に読んだ本107冊の中から面白かったの7冊

2018年に読んだ107冊の中から特に面白かった本

サリン事件死刑囚 中川智正との対話

 

「いいえ、1番恨んでいるのは警察です」
「それはなぜですか」
「坂本事件のときも、上九一色村の施設建設のときも、警察への訴えはみは無視された。もしあの時警察が行動を起こしていたら、地下鉄事件も起こらず、主人が亡くなることもなかったのです」

地下鉄サリン事件がおきたのは僕が小学生のとき。当時のことはぼんやりとした記憶しかない。
大人になってからWikipediaオウム真理教についてちょいちょい読んでいる。
関連人物だけで60ページ、関連事件が38ページ。沼は深い。

この本は台湾人で毒物専門家のアンソニー・トゥ氏がサリン製造に関わった中川智正死刑囚と面会した内容がまとめられている。

社会学や心理学的な背景からオウム事件を考える本は数あれど、化学的な観点からオウムの化学兵器製造に迫った本はこの1冊だけではないだろうか。

地下鉄サリン事件で夫を亡くした高橋シズヱさんの「サリン関係の本は大抵読んだが、自分の知っていることが多かった。しかし先生の本には半分ぐらい知らないことがあった」とう言葉がこの本の貴重さを物語っている。

京大卒で医者という誰もが羨むエリートの中川氏がなぜサリン製造に手を染めたのか。
オウムが生物兵器を断念して化学兵器製造に舵を切ったのはなぜか。
なぜ他の毒物ではなくサリンだったのか。

理系エリートにこそ読んでほしい一冊。

 

デジタルネイチャー

 

約2400年前に荘周が到達した言語を超越した世界認識は、今日、計算機の処理速度向上と統計的データ処理がもたらす自然化によって、実装されつつある。
 

よく胡散臭いと言われる落合陽一氏。
それは落合氏が社会的・政治的・経済的課題の乗り越えに首を突っ込んでいるときは統計的データに基づく議論がすっぽり抜け落ちて、何か語っているようで何も語っていない状態に堕ちていることが理由だと思う。

一方で、『魔法の世紀』に代表されるように哲学と思想にテクノロジー・アート面から大胆な考えを披露する落合氏の考えは、今を生きる僕にとっていろいろな気づきを与えてくれる。

本書は「個人」「平等」「自由」などの概念はフランス革命以降たかだか200年の<近代>であり、それをそろそろ超克しようじゃないかという内容。

まえがきがタフで、わずか31ページを読むのに1時間以上かかった。
しかし、まえがきの内容さえ頭に入れば以降の議論は滑らかに読めるようになっている。

落合氏の考えが正しいとか素晴らしいとかではなく、「あり得る未来のひとつ」として、過去の常識に縛られずに生きていくヒントを与えてくれる。

 

超日本史

 

アイヌに特徴的なのは、東アジア人にはないグループYが二割を占めることです。Yはカムチャツカ半島や東シベリアの先住民に特有のタイプです。五〜十世紀に樺太・千島・北海道の北岸で漁労生活を営んでいたオホーツク文化の女性たちが、アイヌに伝えたDNAかもしれません。だとすれば、アイヌとは縄文人とオホーツク人との混血であるということになります。コロボックル神話は、オホーツク人との交流の記憶かもしれません。

文化人類学の本が好きで何冊も読んでいるが、この本が特に面白いのは史料のない時代について記述した序盤。例えば縄文人弥生人の由来について遺伝学的な最新の知見から民族移動を推測している。また『古事記』『日本書紀』に記載された建国神話についても遺伝・民族移動・他国の神話から尤もらしい仮説を描き出している。

あとこの本の何がいいってPrime Readingで無料で読めること。
Prime Readingに追加される前に買ってしまった。

 

人体600万年史

 

この本で論じるのは、私たちの社会が総じて人類の進化のことを考えそびれているために、予防可能な病気を予防できなくなっている、ということである

この本は進化医学をテーマにしていて『GO WILD』と通ずるところがある。
ヒトの進化適応の結果と現代生活がいかにミスマッチしているかを丁寧に説明してくれる。

何かの病気は他の有益な適応の副産物なのであれば、適応できていないのはヒトではなく、ヒトが創り出した社会のほうなのかもしれない。

 

絶滅の人類史

 

ネアンデルタール人に象徴化行動の証拠がほとんどないのは、やはり社会的な基盤が弱かったということだろう。そしてそれは、ネアンデルタール人が簡単な言語しか持っていなかったことを反映している可能性がある。

文化人類学の本は上下巻に分かれてたり400ページ以上あって重たく分厚い本が多い。そんな中この本は新書ということもあってもかなり読みやすい内容になっている。

(『人体600万年史』+『人類進化の謎を解き明かす』)÷2みたいな本。

 

宇宙に命はあるのか

 

ヒトラーフォン・ブラウン。2人の男は全く違う夢を持っていた。だが、夢を実現する手段がロケットであることは同じだった。そして夢の実現のためには手段を選ばないのも同じだった。ヒトラーは戦争に勝つためにフォン・ブラウンの技術が必要だった。フォン・ブラウンは宇宙へ行くロケットを作るためにナチスの金が必要だった。利害関係は一致した。

新書だけどレトリックな叙述で物語を読んでいるかのような読み味が「宇宙」というテーマと合わさって浮遊感を与えてくれる。

科学者と宇宙開発がナチス・ドイツや冷戦を利用したという一般論とは逆の見方を教えてくれる。

 

誰もが嘘をついている

 

「夫は……」という語句と合わせて、「私に授乳してほしいのか」という検索がダントツに多い国はインドだなんて思ったことがあるだろうか?さらに男に授乳しているシーンを含むポルノの検索も、インドとバングラデシュではどんな国より4倍も多い。

人種差別的検索が多いのはアメリカ北部ではなく東部である。

男がペニスの大きさに匹敵して気にしているのはアソコの匂い。

女性のポルノ検索の25%は恥辱的な内容。

などなど…人の言葉ではなく(Google検索の)行動を信じろという内容。俗っぽさと真面目さが混じり合って飽きずに読める。