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【書評】人はなぜ不倫をするのか

ベッキーの不倫とか、ファンキー・モンキーがベイビーだったとか、渡辺謙が奥さんの病気療養中にお楽しみだったとか、そんなこと僕は全く興味がない。

ただ、不倫に怒る人、叩くメディア、暴く文春がどうしてそんなに騒ぐのか、ということには常々疑問に思うとともに、危険な香りを感じていた。

この本では心理学者、昆虫学者、動物行動学者、脳科学者など8人の識者に著者が「不倫」についてインタビューした内容がまとめられている。

面白いのは、学者によって真逆の意見を述べている要素があるところ。例えば、昆虫学者は「ヒトはフェロモンを捨てた」と言い、行動遺伝学者は「ヒトにもフェロモンはある」と主張する。

 こういった対立する見解を知れば、誰かが、そして自分が不倫してしまう可能性について寛容になれるんじゃないだろうか。

ヒトが不倫をするのは仕方ないことなのか

ヒトが不倫をするのは避けられないのか?

8人の識者の解答は、大きく2つに分けられる。

「ヒトが不倫をするのは仕方がない」派と、「ヒトがなぜ不倫をするのかはわからない」派だ。

どちらにしろ不倫を否定する意見はほぼない。

特に昆虫学者の見方が腑に落ちる。

昆虫のような原始的な生物をずっと研究していると、昆虫の世界こそが生きやすく、実は人間のほうが「生物」という形からはずれているのかもしれないと思うことがあります。つまり、本能以外の「常識」や「社会通念」が大きくなりすぎているのでしょう。しかもそういった社会的な取り決めは、時代によって変わっていきます。「一夫一妻制」も「不倫はいけない」とする考え方もきわめて現代的でしょう?つい何十年か前まで日本には夜這いの習慣があったし、側室やら妾やらがいた時代もあって、そのほうが当たり前だったのですから。

「不倫」が倫理に反することに決まったのは数十年前のことであり、別に不倫して刑事罰に問われるわけでもない。

まして、その数十年前より寿命も格段に伸びた。1人のパートナーと一生添い遂げるなんてそもそもムリがあるんじゃないかという気がする。

不倫が倫理に反するというのは、ヒトとしての道を踏み外しているからではなく、現代の日本人として社会的に求められる空気にすぎない。

日本に蔓延る危ない空気

この本では学者が自身の専門領域から不倫についていろいろと言っているが、唯一共通する意見がある。

宗教や法律がないからこそ規制の基準がないまま、個人の判断ややっかみ、怨恨で叩かれる。逆に恐ろしい社会になっています。

ジェラシーとバッシングの支配が強まっているのが現代日本の風潮です。

肯定はしないけれど「不倫してはいけない」という社会規範を個人に押しつけたり断罪したりするのは違うと思っています。不倫よりむしろ、そうやって人をバッシングする人のほうが気になります。

不倫に騒いでる人は少数だとは思う。しかし、今や不倫ネタは最強のゴシップとしてメディアとTwitterにより拡声され、怒れる人が多数派なんじゃないかと錯覚してしまう。

この本を読んで「不倫」が仕方ないことかもしれないという見解を自分の頭の中に入れれば、赤の他人の不倫にも優しくなれると思う。

というか、次に不倫するのは自分かもしれないわけで。