がーくんのブログ

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【書評】サピエンス全史

まず単純に読み物としておもしろい。

上下巻に分かれていて分量は多いハズなんだけど、グイグイ読める。

そんなに難しい表現も使っていないから読みやすいこと読みやすいこと。

 

前半はこれまでの人類史。

後半は人類がこれからどこへ向かうのか。

要は、僕たちはどこから来てどこへ向かうのかについて書かれている。

 

進化

遺伝

歴史

宗教

経済

哲学

思想

科学

幸福

 

あらゆる分野が網羅横断的に書かれていて、自分の知識の総点検ができる感じ。

 

認知革命

虚構、すなわち架空の事物について語るこの能力こそが、サピエンスの言語の特徴として異彩を放っている。

これがこの本の主張だ。

 

神様は実在しない。

でも宗教は信じる。

 お札はただの紙。

でも諭吉さんは1万円。

 法律はただの文章。

でも人はソレに従う。

 企業に実体はない。

でもそこで働く。

 

なるほど人は認知革命によって虚構を信じるようになり、社会の秩序を築いたわけだ。

 

タモリさんや関根勤がいいともで自分たちのことを「妄想族」と言っていた気がするが、彼らは最も人間らしい人間なのかもしれない。

テクノロジーが高度に発達して実在と実質の境界線が曖昧になるなかで、人間に残された道は妄想だ。

 

農業革命

ホモ・サピエンスはもともと狩猟採集民族で、僕たちの身体にはそのときの記憶が遺伝子にインプットされている。

ガンや生活習慣病も糖質=炭水化物の摂りすぎが原因。

糖質OFFダイエットは、要は狩猟採集民族みたいな暮らしを取り戻そうぜ!っていうことだ。

つまり農業は必ずしも人間を幸せにはしていない。

ここまでは聞いたことがあったけど、この本ではさらに刺激的な表現を使っている。

人類は農業革命によって、手に入る食糧の総量をたしかに増やすことはできたが、食糧の増加は、より良い食生活や、より長い余暇には結びつかなかった。むしろ、人口爆発と飽食のエリート層の誕生につながった。平均的な農耕民は、平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いたのに、見返りに得られる食べ物は劣っていた。農業革命は、史上最大の詐欺だったのだ。
では、それは誰の責任だったのか? 王のせいでもなければ、聖職者や商人のせいでもない。犯人は、小麦、稲、ジャガイモなどの、一握りの植物種だった。ホモ・サピエンスがそれらを栽培化したのではなく、逆にホモ・サピエンスがそれらに家畜化されたのだ。

なんてこったい /(^o^)\

21世紀の人間は機械に飼いならされることを心配しているが、すでにお米の奴隷だったなんて。

 

それにしても何この洞察力。

どうしてこんなことが思いつくんだろう。

こういう自分の知識発想ではあり得ない着想を目撃したとき、読書してて良かったと思える。

 

科学革命

普通の人なら今に生まれてよかったと考えると思う。

電気のない生活なんて考えられないし、戦争の時代も絶対にイヤだ。

 でも、昔はそうは考えなかったらしい。

人間が科学を獲得する前、ユートピアは未来ではなく過去にあった。

科学革命以前は、人類の文化のほとんどは進歩というものを信じていなかった。人々は、黄金時代は過去にあり、世界は仮に衰退していないまでも停滞していると考えていた。長年積み重ねてきた叡智を厳しく固守すれば、古き良き時代を取り戻せるかもしれず、人間の創意工夫は日常生活のあちこちの面を向上させられるかもしれない。だが、人類の実際的な知識を使って、この世の根本的な諸問題を克服するのは不可能だと思われていた。知るべきことをすべて知っていたムハンマドやイエスブッダ孔子さえもが飢饉や疫病、貧困、戦争をこの世からなくせなかったのだから、私たちにそんなことがどうしてできるだろう?  多くの信仰では、いつの日か救世主が現れて戦争や飢饉にすべて終止符を打ち、死さえなくすと信じられていた。だが、人類が新しい知識を発見したり新しい道具を発明したりしてそれを成し遂げられるという考えは、滑稽というだけでは済まされず、不遜でさえあった。バベルの塔の話やイカロスの話、ゴーレムの話、その他無数の神話は、人間の限界を超えようとする試みは必ず失望と惨事につながることを人々に教えていた。
近代の文化は、まだ知られていない重要な事柄が多数あることを認め、そのような無知の自認が、科学の発見は私たちに新しい力を与えうるという考え方と結びついたとき、真の進歩はけっきょく可能なのではないかと人々は思い始めた。解決不可能のはずの問題を科学が一つまた一つと解決し始めると、人類は新しい知識を獲得して応用することで、どんな問題もすべて克服できると、多くの人が確信を持ちだした。貧困や病気、戦争、飢饉、老齢、死そのものさえもが、人類の避けようのない運命ではなくなった。それらはみな、私たちの無知の産物にすぎないのだった。

これを読んで、エヴァのゲンドウと冬月のやりとりを思い出した。

冬月 「街、人のつくりだしたパラダイスだな」

ゲンドウ「かつて楽園を追い出され、死と隣り合わせの地上という世界に逃げるしかなかった人類。そのもっとも弱い生物が弱さゆえに手に入れた知恵でつくりだした自分たちの楽園だよ」

まあ楽園なんてどこにもないんだから、科学によって楽園っぽいところに近づいてる今こそがやっぱり最高なんじゃないかな。

 

人類のこれから

ありきたりだけど、人間は神の領域に近づいている。

これまで進化は自然選択による偶然の結果だった。

これからは違う。

人間が進化を設計できるようになる。

ゲノム編集によってイケメンと美人だらけになってブサイクは滅びるかもしれない。

20歳の若さを永遠に保てるかもしれない。

未来は欲望の赴くままだ。

 

「人間の想像することは全て実現できる」

そんな言葉を思い出す本だった。